はちみつの採蜜

2010年08月10日
はちみつの採蜜
店長です!
朝イチで荷物を届けに来てくれた運送会社のおじさんに、ドアを開けたとたん「ここ冷房ないの!?」と言われました。熱風吹いてましたか…。
あるんですけど、ビル構造に対して非力なんです…。涼しくなるまでかなりかかるんです…。

さて、昨日の早朝、本年度のボダイジュ(シナ)はちみつの採蜜に同行させていただきました!
遠軽町丸瀬布(まるせっぷ)、武利(むり)地区の深い森の中です。 雨模様が続き、延期に延期を重ねた本年度、遠軽入りした週末は大雨で、いよいよ自身の雨オンナぶりを呪いそうになりましたが、ぎりぎりでお天気が回復しました。 神様感謝します!
日中の気温が上がるこの時期の採蜜は、比較的涼しい早朝が勝負どきです。花田養蜂園の皆さんを追って、朝8時に丸瀬布入りしました。
四方を山に囲まれた丸瀬布地区は、遠軽の中心部から約27キロ離れ、総面積の96%が山林原野であり、うち96.4%が国有林で占められています。

市町村合併で遠軽町となりましたが、旧丸瀬布町の時代から木材で栄え、北海道遺産にも登録されている森林鉄道機関車〈雨宮21号〉の現存、大自然を生かした〈いこいの森〉、また日本でもこのエリアにしか生息していない昆虫類の多さから、〈昆虫生態館〉を通じた虫の研究など、森とともに歩んできた歴史の色濃いエリアです。
丸瀬布の中心からさらに山へ十数キロ入った、人の数より見たことのない模様の蝶々の数が圧倒的に多くなるところに、巣箱があります。
花田養蜂園の宮下さんをはじめ、スタッフが真剣に作業をするなか、ミツバチの羽音と虫の声だけが響きます。

今年のボダイジュはちみつの収穫量は、比較的安定していますが、はちみつ自体の収穫量は年々減少しているのが実情です。環境の変化もそうですが、養蜂の仕事につく人の減少など、さまざまな要因が考えられます。
花田養蜂園がこだわる単花蜜は、百花蜜とは異なり、単一種の樹木が群生している清浄なエリアを確保していることが必要です。状況に合わせて人間と蜂が移動して行う移動養蜂、実際のハチミツを口にすると、その風味の華やかさから虜になる方も多数、私もその1人です。
しかし、現場を見学させていただくようになってからは、これまでとは違う思いを持つようにもなっています。
早朝の採蜜でも、すでにスタッフの皆さんは汗だくです。一枚一枚蜜板を慎重にはがし、ハチの様子を確かめて蜜を集める作業の大変さ、自然に囲まれた環境は、最高のハチミツが採れる可能性を秘める反面、森>ハチ>人のヒエラルキーの世界、人間には時に厳しくもあり、スタッフの後姿を見ているだけで、その仕事の大変さを感じることができます。
周囲をダンゴのようになって飛ぶミツバチの羽音を聞きながら(さらに刺されながら)、このはちみつを頂いてものづくりをする事をいつも考えてしまいます。
強く思うのは、たとえビジネスであれど、不必要に消費をしたくないという気持ちです。
沢山の製品ラインナップや選べる香りがあるのは、化粧品にとっても素晴らしいことです。ひとりひとりの気持ちに合わせた製品を手に取る喜びや満足感は、お手入れにも重要なファクターと成り得ます。

でも出来れば、マイスターの製品は、その中でもさらに本当に必要なものだけをシンプルに、自信を持ってリリースできたらと思います。
本物を原料とする製品は、選ばないものであって欲しい、いつでも当たり前に傍にあって、長きにわたって信頼がおける、変わらないものでありたいと感じます。
毎年、採蜜を見るたびに現地でこの思いを再確認してしまいます。そのために、日々ものづくりの努力を重ねなければ…とユーザーさんの顔が次々と浮かぶ森の中の店長です。
…しかしこの考え方、一方では会社がなかなか大きくならないというリスクもある気がするのですが(笑) 
現地で悶々と考える店長を横目で眺めて遠巻きで去っていくエゾシカの親子…
あと、これ絶対クマだよね!というあぜ道の路肩に落ちているすごい量のフン…
じっとしているのにさりげなく刺しまくってくるミツバチ達…夏の森は野生のテンションが高い。ついでに人はなんと非力で努力が必要か!と、ビジネス書よりも沢山のことを教えてくれる偉大な先生でもあります。